ピアノの音色でタッチを変えられる?
ピアノの音色でタッチを変えられる?
ご覧いただき有難う御座います。古川ピアノです。
ピアノの弾きやすさ 弾いた感触などを表現する際、「タッチ」という言葉がよく使われます。
今回は、 ピアノの音色でタッチを変えられるか について解説してまいります。
・音が重いとタッチも重い?
ピアノの調整のセッティングが標準~軽め であってもタッチが重く感じる場合は、そのピアノの音色(調律の仕方や音のカラー) に着目します。
例えば、人の声に 鋭い声/柔らかい声 といった声質の幅があるように、ピアノの音色にもある程度の幅があります。
これらの音質は実に様々な要素で変化し、ピアノのメーカーが違う場合 / 同じメーカーでもモデルが違う場合 / 大きいピアノと小さいピアノ
新しいピアノと古いピアノ / 弾き込まれたピアノとそうでないピアノ / などなどでかなり変化します。
我々調律師が手掛ける作業に関しては、「調律による音の仕上げ方の違い」や「整音による音の仕上げ方の違い」が大きなポイントとなります。
・調律による違い?
調律と一口に言っても、調律=音をきれいに合わせる という意味だけではありません。
きちんと調律されたピアノは当然音が綺麗に聴こえるのですが、実はキレイに聴こえるポイントは人によって微妙に違っていて、
調律師それぞれのクセ 鍵盤の叩き方 耳の性質 音の好み 体調 音に対しての考え方 などで 実際に出来上がる音にはそれぞれの個性が出ると言われます。
単純に言えば、調律の音が丸っこくて柔らかい=タッチ的に重く感じ、シャープでクリアな音=タッチ的に軽く感じやすい という傾向があります。
私の場合は、自分の中でのスタンダードな音 を基準として、例えば 優しい音が良い クリアな音が良い などのリクエストを受けた場合に、
それぞれに変化させられるように、いくつかのバリエーションを作れるように意識して調律しております。
ここが調律での音作りのたいへん奥深い部分で、どんなにベテランになっても 一生勉強して追求していくものだと言われています。
・ピアノ自体の音色でタッチを変えるには?
内部調整や調律でもコントロールできない場合は、ハンマーフェルト(画像のオレンジ枠で囲んだ部分)の状態を見極めます。
ハンマーフェルトとは弦を叩いて発音させるためのフェルトの塊 のことで、そのピアノの音を決定づける最も重要な部品の一つです。
例えばこのフェルトが硬すぎると、キンキンとして尖った感じの耳に痛い音が出やすく、柔らかすぎるとショボショボしてパワー感に乏しい音になります。
また表面的な硬さだけでなく、内部の弾力構成が非常に重要で、専用の針を使った工具でフェルトを刺しながら弾力を整えていくのですが、
これらがうまく調整されたハンマーフェルトで出す音は、ピアニッシモ~フォルテッシモまで自由自在に音をコントロールしやすく、伸びがあって美しい音色を奏でてくれます。
どの部分に針を刺すなどすれば理想的な音とタッチになるのか、冷静に分析しながら調整していきます。
タッチを変える場合に大切なこと
タッチ変更の際には、メインの演奏者に同席していただき、もっともご希望に近い状態になるよう区切りのいいところで時々テストしてもらえると理想的です。
これらの作業には、ピアノの状態によっては30分程度からできる事もありますので、今のタッチに満足されていない方は、気軽にご相談ください。
次回以降、音響が原因による重いタッチも改善方法をご紹介致します!
この記事が参考になれば幸いです。
古川ピアノでは、弾きにくいタッチなどでお悩みの方のご相談のほか、調律 中古ピアノの販売などを総合的に承っております。
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最後までお読みいただきありがとうございました!
古川ピアノ 古川航
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